『LOLはマクロさえしっかりしていれば勝てる』『ミクロよりもマクロの方が重要』LOLではこういった記事をちらほら見かけます。これはある程度正しい見解ですが、LOLの理解が浅い初心者が言葉通り受け取ってしまうと根本的に間違ってしまうこともあります。
この記事ではこのマクロという言葉の意味とそれがどう試合に影響するのかについて、対局概念であるミクロと比較して解説します。
目次
そもそもミクロ、マクロとは何か
League of Legendsではどういうわけか、低レートほど言葉の意味も知らずにマクロ、マクロと声高に叫ぶ人が増えます。
それは時にレーンのローテーションのことを意味していたり、ミニオンウェーブのコントロール、スプリットプッシュ、時には自分の思い通りにならない味方のことを『マクロがおかしい』など、都合の良い言葉として使われています。
これは頭の善し悪しやLOLの理解度のせいもあるかもしれませんが、プロやストリーマーが視聴者受けを狙って『神マクロ』『IQ200マクロ』といった言葉を内容と関係なく口にしたり、動画タイトルにしてしまっている影響も大きいでしょう。
無論彼らはミクロ、マクロという言葉の本来の意味を理解したうえでネタとして発言しているだけです。
ミクロ、マクロという言葉が示すもの
ミクロ、マクロは物事に対する視点の大きさ(スケール)を表す言葉でそれぞれ次のような意味を持ちます。
- ミクロ:小さな・小規模な・局所的な
- マクロ:大きな:大規模な・大局的な
例を挙げるとミクロとは次のような事柄を指します。
- ミッドレーンのマッチアップは有利か不利か
- 今プッシュウェーブなのかプルウェーブなのか
- 相手の現在体力は自分のワンコン圏内かどうか
これらはサモナーズリフトという広いマップの中において、ミッドレーンに限定された事柄、それもジャングラーやサポート・サイドレーンの介入や影響を考慮しない、対面と自分だけで成立する局所的な事柄です。
対してマクロは次のような事柄です。
- こちらのチームの方がスケーリングが高いので、レーニング段階ではリスクプレイを避けて堅実にファームし、敵のガンクでレーンが壊れないようにケアしたい
- 1分後にドラゴンが湧くのでそれをチームに伝え、自分もリコールして装備と体力・マナを整え、ドラゴンが湧く前に敵をキャッチして倒せるよう視界を整備して陣取る
- 敵チャンピオンたちのほうがチームファイトが強いため集団戦を避け、ドラゴンを4つ取られる前にサイドレーンを大きく傾け、終始キャッチを狙い相手のグループアップを阻止し続ける必要がある
これらは特定のレーンや地点だけで完結する事柄ではなく、時間軸で見ても試合全体であったりドラゴン戦の前後数分にわたって関係する、大局的な事柄です。
LOLプレイヤーの間では
- ミクロ:技術
- マクロ:知識
といった誤用もありますが、前述の通りミクロ・マクロとは視点を表す言葉であり、ミクロには知識が含まれることも多いです。
もちろんその性質上、技術はミクロ側に内包されることになりますが、純粋に操作技術だけを表す言葉としては『メカニクス』や『ハンドスキル』が適切です。
ミクロとマクロどちらが大事なのか
結論から言ってしまえば『LOLは圧倒的にミクロの方が大事』です。
というのも、マクロ視点というのは試合がある程度成立していてこそ活きるものであり、そのレート帯で最低限のミクロ水準に達していなければ試合がまともに成立しないためマクロもへったくれもないからです。
例えば次のようなプレイヤーがあなたの味方に来たらどうでしょうか。
- 分間CSが5しかないレーナー
- レベル6までに対面に3回ソロキルされて0/3/0のプレイヤー
- ジャングルモンスターに倒されるジャングラー
- AAしないサポート
- 棒立ちでしか殴れないADC
このプレイヤーのマクロがどれだけしっかりしていたとしても意味をなさないことがわかるでしょう。
どれだけワードを置く場所やタイミングを把握していてもレーンが崩壊していたらワードを置きにいくことすらできませんし、スケーリング勝ちできることがわかっていても耐えられなければ意味がありません。
ドラゴンに合わせて完璧なリコールタイミングがわかっていてもボロ負けしすぎて帰るタイミングを選べませんし、キャッチの狙いが完璧でもダメージが足りず返り討ちにされてしまいます。
そもそもこんなプレイヤーが指示を出したとしても信用ゼロなので誰も言うことを聞きません。
最低限のミクロがあれば、という話
冒頭にあった
- LOLはマクロさえしっかりしていれば勝てる
- ミクロよりもマクロの方が重要
というのは別に間違いというわけではありません。ただ『最低限のミクロがあれば』という部分を記事によっては省略していたり、読者が自分に都合の良いように読み飛ばしてしまっていると、根本的に間違った話として受け取ってしまう可能性があるのです。
- マクロさえしっかりしていれば勝てる → (最低限のミクロがあれば)マクロさえしっかりしていれば勝てる
- ミクロよりマクロの方が大事 → (最低限のミクロがあればそれ以上の)ミクロよりマクロの方が大事
操作技術やミクロの知識・判断力が不足している自覚がある方は、わかりもしないマクロを覚えようとするよりも、プラクティスモードでCSやコンボ、ウェーブコントロールの練習をした方がよほど効果的です。
LOLではミクロの知識が不足しているのにマクロを理解することは不可能だからです。
ソロQではマクロは制御できない
マクロよりもミクロの方が重要なもう1つの理由として、ソロQではマクロは制御できないことが挙げられます。
マクロとはチーム全体、盤面全体、時には試合全体を俯瞰して『こうだからこうすべき』という、いわばチームの目指すべきところを理解すること、それに向けてベストな行動を取ることです。
そして前述の通り、その行動はあなた1人だけで成立するものではありません。
先程の例で言えば
- レーニング段階ではリスクプレイを避けて堅実にファームしよう → 味方のイレリアがガンガンプッシュして捕まりまくり0/3/0
- 1分後にドラゴンが湧くのでそれをチームに伝え → 味方はドラゴンが湧いてからリコールしましたとさ
- 敵チャンピオンたちのほうがチームファイトが強いため集団戦を避け → うおお俺はアサシン野郎だけど5v5ウェルカム突っ込むぜええ!
こうなった場合、いくらあなたがマクロに熟達していようとも意味をなしません。
野良バスケの勝ち方
LOLのマッチングシステムで野良バスケットボールや野良サッカーをやることを想像してみてください。
野良バスケで勝つためにまず必要なのはゾーンディフェンスがどうとかのマクロ知識ではありません。
試合の真っ最中に『ここはこういう陣形でこの人にこの役割を任せたほうがいいと思うんだ』などと言ってもまず相手にされませんし、『早よ動け何してんだ』と思われるだけです。
そもそも部屋のレベルが低いと言葉が通じません。バイオレーション(反則)で相手にボールを奪われ続けるヤスオに、ダブルドリブルとは何か、トラベリングとは何か、試合中に説明しているヒマはありません。
それでわちゃわちゃ揉めるより、ボールを持ったらとっとと3人抜いてゴールを決めたほうが勝てます。あなたも体育の授業のバスケで、用語の意味すら知らない味方に指示を出してマクロで勝とうとはしなかったはずです。
LOLの教科書たるこのサイトでマクロ講座を第四章に置いているのはきちんと理由があります。まずは十分なミクロを身につけること、そしてそれができるようになってはじめて、マクロ視点の知識や判断が活きてくるわけです。